慢性中耳炎
- 誘因・原因
- 鼓膜は、穴が開いても通常は自然に閉鎖しますが、炎症の長期化等が原因で閉じないことがあります。
具体的には急性中耳炎を繰り返して起こしたり、鼓膜チューブを挿入している耳への細菌感染や外傷などが原因となることが多いです。
まれに免疫低下や難治性の病原菌感染が原因になることもあります。
- 病態
- 鼓膜に穴が開いており中耳の炎症が慢性化しています。
- 症状
- もっとも多く見られる症状は、耳だれと難聴です。
耳だれは感染のある時のみに見られます。
耳だれが絶えず出ている方から、ほとんど自覚しない程度の方まで患者さんによって様々です。
急性中耳炎に見られるような激しい耳の痛みや発熱はほとんどありませんが、放置すると難聴は徐々に進行し、めまいを伴う場合もあります。
- 検査・診断
- 鼓膜を観察します。
聴力検査を行います。
耳漏が出ている場合は原因菌を調べるため細菌培養検査を行います。
- 治療
- 炎症を抑え耳だれ改善させるために、飲み薬や差し薬(点耳薬)の抗生剤を使います。
医院では耳の洗浄や薬液の耳浴を行います。
慢性中耳炎の鼓膜の穴は自然治癒しませんので根治的(聴力改善・耳だれ停止)には手術が必要です。
穴のあいた鼓膜は患者さんの耳の後ろの筋膜で塞ぎ、固くなった耳小骨を動くようにしたり、役に立たない耳小骨の代わりに耳介の軟骨などを用いて音を伝えるしくみを再建します。
中耳炎の重症度によって手術の費用や入院期間が変わってきます。
手術が必要な場合は、患者さんのお住まいや症状の程度から連携医療機関ご紹介いたします。
- 注意点
- 耳だれが完全に止まるまでの治療期間には個人差があります。
治療が遅れて耳だれが出ていた期間が長いほど、耳だれが止まるまでには時間がかかります。
通院をやめてしまうと、いつまでたっても治らないばかりか、将来的に手術が必要になる可能性が高くなりますので、放置せず根気強く通院することが大切です。
子供でも滲出性中耳炎の治療で鼓膜チューブが入っている方は注意が必要です。
感染を起こすと慢性中耳炎になるため定期的な受診が必要です。