甲状腺とは?
甲状腺という臓器を知らない、という方は結構いるんじゃないでしょうか?
甲状腺はのどぼとけの下に位置する臓器です。
正面から見ると蝶が羽を広げたような形をしていて気管に覆いかぶさっています。
片方の羽の長さは4センチほどです。
元気を出させるホルモンである、甲状腺ホルモンを作っています。
通常は、首を触ってもはっきりとは触れません。
ここにできるがんが甲状腺がんです。
甲状腺という臓器を知らない、という方は結構いるんじゃないでしょうか?
甲状腺はのどぼとけの下に位置する臓器です。
正面から見ると蝶が羽を広げたような形をしていて気管に覆いかぶさっています。
片方の羽の長さは4センチほどです。
元気を出させるホルモンである、甲状腺ホルモンを作っています。
通常は、首を触ってもはっきりとは触れません。
ここにできるがんが甲状腺がんです。
他の病気が原因で亡くなった方を解剖した時に、10%くらいの割合で甲状腺にがん(乳頭癌)が見つかります。
つまり、甲状腺に癌を持っていても、気がつかないでそのまま年をとり、他の病気やけがなどが原因で亡くなる方がほとんどということです。
これは甲状腺がんのほとんどが、非常にゆっくり成長するため、体の中にあっても無症状だからです。
甲状腺がんを疑われて病院に紹介される方も首のしこりがある他には、「痛い」とか「苦しい」など辛い症状がない方がほとんどです。
しこりもなくたまたま耳鼻科や内科で首の超音波検査を受けた結果、さわってもわからないような小さいしこりがみつかって紹介される方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、中にはがんが大きくなって、声がかすれたり、飲みにくいなどの困ったことが出てくる方もいらっしゃいます。
また、稀に骨に痛いところがあって整形外科で調べてみたら甲状腺がんの骨転移とわかって紹介される方もいらっしゃります。
自分で首を触ってみましょう。
ふつうの甲状腺は触ってもよくわからないのですが癌ができて大きくなると、かなり硬いゴツゴツした塊が触れるようになります。
大抵は首の左右どちらかです。
リンパ節に大きな転移がある場合、グリグリしたしこりが触れることがあります。
ノドボトケなどの軟骨、首の骨や太い動脈をしこりと勘違いされる方もいらっしゃいますが、心配でしたらどい耳鼻科(薬円台クリニック)に行って診てもらいましょう。
病院では超音波検査を行います。
プローブという超音波を出す器具を首にあてて、しこりの大きさや内部の状態をみます。
良いものか(良性)、悪いものか(悪性)を正確に調べるためには、しこりに針を刺して中身を少し吸って細胞を採ります。
首に針を刺されるのはとても怖いと思いますが細い針を使うのでそれほど痛くありません。
採った細胞は専門の先生(病理医)が顕微鏡で見て診断して下さいます。
この検査を専門的には穿刺吸引細胞診と言います。この検査で9割くらいが悪性か良性かはっきりします。
細胞診では悪性か判断つかないタイプのがんもあるので、シンチグラフィーという検査を行う病院もあります。
この検査はアイソトープという放射性物質の薬を飲んだり、注射した後に写真を撮ります。
薬の集まり具合で悪性か良性かを判断します。
血液検査のみでは甲状腺がんを発見することはできません。
甲状腺がんのはっきりとした原因はわかっていませんが、若い頃(特に小児期)の放射線被曝(ひばく)は原因のひとつと考えられます。
甲状腺髄様がんは、血縁者にかかった人がいると発生しやすくなると考えられています。
甲状腺がんには5種類(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫)ありますが、甲状腺がん全体の9割ほどが乳頭(にゅうとう)癌です。
その乳頭癌の9割ほどはほとんど命にかかわることがありません。
「がんなのに命にかかわらないなんて本当?」と思いますよね。
でも他の病気で亡くなった方を解剖した場合に10人に1人の割合で見つかるがんがこの怖くない甲状腺乳頭癌です。
これを専門的には低危険度の乳頭癌などと呼んでいます。
甲状腺乳頭癌は早くから甲状腺周囲にリンパ節転移を起こしやすいのですがリンパ節に転移してもあまり命にはかかわりません。
10年後に生存している割合はほぼ100%です。
そういう意味で低危険度の乳頭癌はがんらしくないがんなのです。
残りの1割が命にかかわる可能性のある高危険度の乳頭癌です。
次は低危険度と高危険度の見分け方についてお話します。
怖い乳頭癌はどうやって見分けるのでしょう?
実は特殊な検査で分かるのではなく、初めて患者さんに会った時の患者さんの年齢や病気の進み具合で区別します。
高危険度乳頭癌の基準としてはおおむね
などです。
治療を行った高危険度乳頭癌の方が10年後の生存率は6~7割ほどです。
他の臓器の進行癌と比べると高い生存率です。
他の臓器のがんの場合、治療は手術と放射線治療と化学療法(抗がん剤を使った治療)が中心となります。
甲状腺乳頭癌は穏やかな性質なのですが、通常の放射線治療や化学療法がほとんど効きません。
そのため手術で取ってしまうことが基本的な治療法となります。
でもがんなのに手術しない場合もあるんです。
昔は癌と分かった時点で小さい乳頭癌も手術で摘出しておりましたが、1センチ以下の小さい乳頭癌(微小乳頭癌)は手術しないで様子をみる病院が増えてきました。
様子をみていて分かったことは、後から癌が大きくなってきたり、リンパ節転移を起こしたりすることは稀で、ほとんどの人が甲状腺に小さい癌があっても無害に生涯を過ごせるということでした。
それじゃあ手術しないでいいんじゃないかという事になり、現在の多くの病院で、転移のない微小乳頭癌ならば「手術をせず経過観察する方法もあるよ」と患者さんに説明するようになりました。
癌と言われると誰もが不安になると思います。
手術しなくても大丈夫と言われても安心できない人はたくさんいらっしゃると思います。
安心の基準は人それぞれ違いますね。99%命の心配はないならば安心という人もいますし、100%でないと安心できないという人もいます。その人の性格以外にも、その時の年齢や自分の周りの状況によっても変わってくると思います。
しかし、手術合併症のリスクも0%ではありませんね。
通常手術は、手術をする事によって得ることができる良いことが、リスクを上回る場合に行います。
小さい乳頭癌はほとんど命にかかわらないので、あえて手術をしなくてもよいのではないかと考える病院が増えてきたのです。
最終的に手術をするかはたいてい患者さんが決めます(先生にお任せしますという患者さんもいらっしゃりますが。)。
怖くないがんと言われても、癌が体にあるという事自体が、かなりの精神的なストレスとなり、それが生涯続くかもしれない方は、手術を選択することもいいのではないかと私は思います。
一般的に手術した方が良いのは命にかかわる場合です。
また、声がかれたり、ごはんが飲み込みにくくなっても困りますので、そのような可能性がある場合も手術した方がいいでしょう。
具体的には
こんな場合は手術をしたほうがいいでしょう。
日本の多くの病院では、手術前に癌の広がり方をみて、癌があるとこだけ取って、残せるところはなるべく残そうという方針です。
具体的には
甲状腺がんの大きさが甲状腺の半分以下の場合は、甲状腺の半分を取ります。
甲状腺は蝶が羽を開いたような形をしているので、片方の羽をとる感じです。
癌が半分以上ある場合でも、多くの病院で、甲状腺は全部取らないで、できるだけ甲状腺を残すようにしています。
肺や骨に転移があるような癌のステージが進んだ状態である事がわかっている場合は、癌の大きさにかかわらず甲状腺を全部取ります。
これは後でヨード治療という特殊な治療をするためです。
(ヨード治療については後でお話しますね。)
また、癌の大きさにかかわらず、転移があるかもしれない甲状腺の周りのリンパ節は一緒に取ることが多いです。
左右の首に明らかなリンパ節転移がある場合は、そこも一緒に取ります。
気管や神経や食道やのどなどに癌が食い込んでいる場合はそこも一緒に取ることが多いです。
気管や食道やのどをいっぱい取ってしまうと普通に生活できませんね。
そのような時は無くなったところを他の臓器を使って作り直すようなこともあります。
このような手術を専門的には再建手術と呼んでいます。
昆布などを含まれるヨードは甲状腺に取り込まれて、甲状腺ホルモンの原料になります。
そのため甲状腺を全部取ってしまうと、ヨードがどこにも取り込まれず、甲状腺ホルモンも作られなくなります。
甲状腺にできる乳頭癌や濾胞癌にはヨードを取り込む性質を持っているものがあります。
その性質を利用したのが放射性ヨード治療です。
放射線を出すヨード(放射性ヨード)入れたカプセルを飲みますと、癌がヨードを取り込む性質を持っている場合は放射性ヨードを取り込みます。
取り込まれた放射線が癌を焼くわけです。
通常はまず検査用の放射性ヨードを使って再発や転移がないかどうかを、また、転移があるところに放射性ヨードが取り込まれるかを調べます。
転移があるところに検査用の放射性ヨードが取り込まれるようならば、ヨード治療を行います。
ヨード検査やヨード治療を行うときは2週間前から甲状腺ホルモンの内服をストップして、ヨードが含まれていない食事を取らないといけません。
その間は甲状腺機能が低下した状態になるので、だるくなったり、つかれやすくなったり、皮膚が乾燥しやすくなったり、むくみが出たりすることがあります。
肺や骨や脳に転移がいっぱいあったり、転移したところが手術では取れない場所であったり、手術で取り残しがあったり、どこかに小さい癌が隠れているかも?といったときが放射性ヨード治療の出番です。
甲状腺が残っているとそこに放射性ヨードが集まってしまい、癌に集まらなくなります。
そういうわけでこの治療をする時は甲状腺を全部取らないといけないのです。
手術で甲状腺をすべて取っても、甲状腺の成分は少し残っているものです。
その部分は、少量の放射性ヨードを使って焼いてしまいます。
残念ながら全ての甲状腺がんに放射性ヨード治療ができるわけではありません。
ヨードを取り込まないがんには出来ないからです。ヨード治療が効果的なのは大体50%位です。
ヨードを取り込むタイプのがんかどうかは甲状腺を全部取って実際に放射性ヨードを飲んでみないと分かりません。
そのためヨード治療のために甲状腺を全部取ったけれどヨード治療が出来ないということもあるのです
日本の甲状腺がんの治療法についてお話してきましたが、欧米と日本では甲状腺がんの治療方針が異なります。
欧米では癌とわかった時点で、大きさにかかわらず甲状腺を全部取ってしまいます。
そして手術の後に基本的にはヨード治療を行います。
また生涯甲状腺ホルモンの薬を少し多めに飲み続けます。
欧米では甲状腺に異常がある患者さんが病院に行くと、最初は内分泌科医が診察します(甲状腺は人体最大の内分泌臓器です)。
そこで甲状腺がんと分かった場合は次に外科医を受診し、手術することになります。
手術の後はヨード治療を行う放射線医にバトンタッチします。
経過観察は血液検査でサイログロブリン値をチェックします。
サイログロブリンは甲状腺で作られるタンパク質なので、甲状腺を全部取ってしまった場合は作られないはずですね。
しかし、甲状腺がんもサイログロブリンを作ることがあるのです。
サイログロブリン値が上がってきた場合はどこかにがんがあるかも?と考えて、ヨード治療を行うのです。
甲状腺ホルモンの薬を少し多めに飲むのは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を抑えるためです。
甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺がんの増殖も刺激することがあると考えられているからです。
この治療法の事をTSH抑制療法と言います。
甲状腺乳頭癌はどんな治療を受けても成績が良いので、どの治療の生存率が一番良いのか比べることがとても難しいのが一つの理由です。
実際、生存率は日米でほとんど変わりありません。
また、日米で医療事情が異なることも理由の一つです。
日本では手術前に念入りな超音波検査が欧米以上に多く行われているので、癌の広がりをかなり正確に調べることができます。
それに基づいて甲状腺を温存する手術を行うため、甲状腺を全部取らなくても残った甲状腺からの再発する率は極めて低いのです。
さらに、欧米では診断・治療・経過観察が分業化しているため、それぞれの分野の医師が独立して治療しています。
術後の転移は首のリンパ節が一番多いのですが、欧米では経過観察を行う医師が首の専門家ではないことが多いため、血液検査やヨード検査で再発のチェックをしやすくしています。
しかし、再発や転移があれば必ずサイログロブリン値が上昇するというわけでもありませんし、再発転移したところに必ずヨードが集まるわけではありません。
一方、日本ではヨード治療を行える施設が限られていることもありますが、術後の経過観察も頸部の診察が得意な耳鼻科医が継続して行うため、超音波検査やCT等で再発や転移を直接見つけることができます。
採血検査やヨード検査も必要に応じて行います。
治療法がいくつかある場合、医師は自分が良いと信じている方法だけを説明するわけにはいきません。
それぞれの治療法の良いところと悪いところを説明して最終的には患者さんに選んでもらいます。
日本式の良いところは、手術の合併症(声がれ、血液中のカルシウム値の低下など)の可能性が低くなることです。
悪いところは、サイログロブリン値が再発のマーカーとして使えない事や、肺などに後から転移が出てきた場合、残った甲状腺を取らないとヨード治療が出来ないことです。
欧米式の良いところは、サイログロブリン値が再発のマーカーとして使えることや、ヨード検査やヨード治療が簡単に行えることです。
悪いところは、手術の合併症の可能性が少し高くなることと、甲状腺ホルモンを(場合によってはビタミンDやカルシウム製剤も)一生飲まなければいけない事です。
日本では患者さんの病気の進み具合によって治療法が変わってきますので、主治医の先生とよく相談しましょう。
甲状腺がんの全体のおよそ5~6%位が濾胞癌です。
濾胞癌の特徴は診断がとても難しいという事です。
つまり、しこりに針を刺して細胞を取り、癌かどうか調べる検査(穿刺吸引細胞診)を行ってもわからないのです。
細胞の検査では、細胞がどのくらい変な形(専門的には異型度といいます。)になっているかを診ていて、すごく変な形に変わっているのが癌です。
しかし、濾胞癌の細胞は、良性の濾胞腺腫の細胞とあまり変わらない形をしているのです。そのため、良し悪しの区別が難しいのです。
濾胞癌の場合は、しこりを覆っている被膜や血管の中に癌細胞が浸み込んできているかどうかで良し悪しを見ています。
なので、明かな転移があったり、しこりが大きくなり明かに周りに浸み出していない限り悪いものかどうかわからないのです。
つまり、転移がなかったり、しこりが小さい場合はとってみないと濾胞癌かわからないのです。
とってみないと癌かどうかわからない濾胞癌ですが、穿刺吸引細胞診を行い、色々な超音波検査でしこりの血流や硬さを調べたり、シンチグラフィを行ったり、血液中のサイログロブリンの値を調べたりする事によって、「濾胞癌じゃないかな?」と疑う事はできます。
そういう場合は手術を勧めます。治療法は乳頭癌と基本的には同じで、甲状腺の半分以下の大きさならば甲状腺を半分取る手術をします。
肺や骨などに遠隔転移がある場合は、甲状腺を全部取って、手術の後にヨード治療を行います。
術前診断が難しい癌なので、良性だと思って手術(甲状腺を半分取る)したら癌だった。ということも多いです。
欧米の場合はがんとわかれば甲状腺は全部取る方針なので、残った甲状腺を取る手術を行いますが、日本では明らかな遠隔転移がなければ様子を見る病院が多いです。
濾胞癌も遠隔転移がなければ命にかかわる事はほとんどありません。
しかし、骨などに比較的遠隔転移をしやすい癌のため注意が必要になります。
手術では通常、ノドボトケと鎖骨の中間くらいの皮膚を、しわに合わせて横に切ります。
(鎖骨の下の皮膚や、乳輪の周りの皮膚や、脇の下の皮膚を小さく切って内視鏡を入れて甲状腺の手術を行う施設もあります。)
皮膚のすぐ下には筋肉があります。
甲状腺から癌が顔を出していないようならば筋肉は取りません。
筋肉の下に甲状腺があります。通常は癌の大きさによって取る甲状腺の量が変わりますが、たいていは(1)半分取る(2)全部取る(3)その中間です。
甲状腺の裏には反回(はんかい)神経という神経があります。
反回神経は左右一本ずつあり、左右の声帯を動かす働きをしています。
反回神経が麻痺すると声帯が動かなくなるので手術中は丁寧に扱います。
癌の表面に神経がくっついている場合でも、甲状腺癌の場合は神経を剥がして残します。
ただそういう場合は、手術中、神経に触る回数が多くなるので、術後に神経麻痺をおこす可能性が高くなります。
神経が癌に巻き込まれている場合は、神経を切断することが多いです。
場合によっては切断した神経をつなぎ直します。
つなぎ直した神経はほとんど動くようにはなりませんが、切りっぱなしにするよりは良い声が出るようになる事が多いです。
反回神経が切れると声帯の張りが無くなってきますが、つないでおくとそれを予防できるからです。
甲状腺の手術では声帯を動かす反回神経に触ります。触る機会が多くなると手術後に神経麻痺をおこす事があります(1%程度)。
片側の神経が麻痺して片側の声帯が動かなくなると、声がかすれますが、神経が切断されていなければ通常数か月で治ってきます。
甲状腺を全部取るような手術をした場合は、左右の反回神経に触れることになるので、両方の声帯が麻痺する可能性がわずかにあります。
声帯は息を吸う時に開いて、声を出すときに閉じるのですが、両方の声帯が麻痺すると、たいていは声帯が閉じた状態で動かなくなります。
この状態では「声は出るけど、息が吸いにくい」ことになります。
両方の反回神経を手術中に触った場合は、手術直後に声帯がちゃんと動いているか確認します。
両方とも動いていない場合は息を吸えるように気管に穴を開けます(気管切開術)。
気管切開術後は一時的(数日から1週間ほど)に声が出せませんが、ずっと声が出ないわけではありません。
気管切開とは、口から声帯までの息の通り道(気道)のどこかが狭くなったときに気管に穴を開け、息を吸いやすくすることです。
甲状腺の手術の場合は、両方の声帯が閉じたまま動かなくなって息が吸いにくい時に行います。
開けた穴は、そのままにしておくと自然に閉じてしまいますので、プラスチックの筒(カニューレ)を入れておきます。
気管の穴を閉じても大丈夫な時は
です。
神経を切断していない場合は3か月ほどで麻痺が改善することが多いです。
半年~1年経過しても動かないときは声帯の手術も考えます。
声帯の手術は声帯を動かすようにする手術ではありません。
片方の声帯を糸で引っ張って開いた状態にしたり、声帯の一部を削って、息の通り道を作ったりします。
息の通り道が出来たら、気管の穴を閉じることができます。
通常カニューレを抜きっぱなしにすると、1週間程で自然に閉じてしまいます。
甲状腺がんは女性に多いことから、手術による傷跡を気にされる方が多いです。
縫ったあとがミミズばれのようになる肥厚性瘢痕の予防が必要です。
個人差はありますが、肥厚性瘢痕は皮膚に張りがある、若い人ほどなりやすい特徴があります。
予防策としては
などがあります。
今までお話したように甲状腺がんの多くが生命にかかわらないため、小さい甲状腺がんでは手術をしないこともあります。
しかし、声がかすれたり、飲み込みにくくなったり、命にかかわる場合もあります。
甲状腺がんを疑うポイントは
このような場合は耳鼻咽喉科での診察が必要です。
ただこれらの症状はがんがある程度大きくならないと出てきません。
小さい甲状腺がんを見つけるためには超音波検査が必要です。
のどの違和感が長く続く方に甲状腺腫瘍がある場合があるので、そのような方はどい耳鼻咽喉科(薬円台)で超音波検査をお願いしましょう。