睡眠時無呼吸症候群
- 一定の無呼吸・低呼吸状態を繰り返し、質の良い睡眠がとれないことで、昼間の眠気や倦怠感、集中力の低下などの症状を伴う病気です。
- 誘因・原因
通常、呼吸によって鼻や口から吸い込まれた空気は、スムーズに肺まで達します。
ところが、何らかの原因でこの空気の通り道となっている「気道」が狭くなっていると、空気の流れが乱れて音が出ます。
また、空気が口の奥の軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)を震わせて音を出すこともあります。
これらの音がのどや鼻で共鳴して拡大されたものが 「いびき」です。
「気道」が閉塞した状態が「無呼吸」です。
- 以下が主な原因です。
舌が大きい
下顎が小さい
首が太くて短い
口蓋扁桃(扁桃腺)や咽頭扁桃(アデノイド)が大きい
口蓋垂(のどちんこ)が大きい
鼻が詰まっている
口呼吸をしている
口の周りの筋肉(口輪筋)が弱い - 病態
- 睡眠中、吸気時に上気道(気道のうち鼻腔~鼻咽腔~咽頭・喉頭)が閉塞し無呼吸となります。
- 症状
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- 著明ないびき、夜間に頻繁に覚醒するので日中に過度の眠気が出ます。
- 短期覚醒が交感神経を興奮させ高血圧になりやすくなります。
- 間欠的低酸素血症は酸化ストレス、インスリン抵抗性、血小板凝集能を増加させたり、多血症を招いたりするので、虚血性心疾患、糖尿病、高脂血症、メタボリック症候群になりやすくなります。
- 日中の眠気による社会生活への不適応は抑うつ気分やうつ病にもつながります。
- 検査・診断
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- 睡眠中に呼吸運動、血中酸素濃度、鼻・口の気流を記録する無呼吸簡易モニターにより診断します。
ご自宅で検査を行うことが出来ます。
- これで診断できない場合は入院の上、脳波、筋電図、心電図、眼球運動、呼吸運動図を記録するポリソムノグラフェィー(PSG)を行います。
連携医療機関にご紹介いたします。
- 無呼吸低呼吸指数(睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の合計)が5以上で前述の自覚症状があれば睡眠時無呼吸症候群と診断します。
(ただし無呼吸低呼吸指数が15以上あれば自覚症状の有無を問いません)
- 睡眠中に呼吸運動、血中酸素濃度、鼻・口の気流を記録する無呼吸簡易モニターにより診断します。
- 治療
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- 扁桃肥大があればその治療(切除術)が効果的です。
- 肥満があれば減量しましょう。
- 軽~中等症の睡眠時無呼吸症候群の方で、あごや顔面の形態が原因と考えられる場合は口腔内装置(マウスピース)を歯科に依頼し作成します。
- 重症の睡眠時無呼吸症候群の方は、経鼻持続陽圧送気(CPAPシーパップ療法)を行います。
鼻マスクを装着し、陽圧を加えて気道内圧を高め無呼吸を改善させます。
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- 生活習慣の改善
睡眠時無呼吸症候群の治療には、生活習慣の見直し・改善も必要です。
減 量
肥満は首周りにも脂肪がつくことで気道を閉塞させてしまいます。
減量するだけで無呼吸が著しく改善する場合もあります。
飲酒の制限
アルコールは血圧に悪影響を及ぼすだけでなく、気道の筋力を低下させ気道を狭くするので、無呼吸をますます悪化させてしまいます。
就寝前の飲酒は控えましょう。
睡眠薬・精神安定剤などの制限
アルコール同様、睡眠薬や精神安定剤も、気道の筋力を低下させ気道を狭くします。
睡眠薬・精神安定剤の服用は、医師と相談の上、できるだけ控えたほうが良いでしょう。
禁 煙
タバコの煙は、のどや気道の炎症・腫脹を引き起こし、無呼吸を悪化させます。
できるだけ禁煙をしましょう。
その他
横向きに寝るのも効果があります。