急性扁桃炎
- 誘因・原因
- 細菌やウイルスの感染症です。
ストレス、過労、外傷、気候変動も誘因となります。
細菌ではA群β溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌、緑膿菌などが多いといわれています。
特にA群β溶血性連鎖球菌は溶連菌とも呼ばれ、症状(のどの痛み、発熱など)が強くなる傾向があります。
ウイルスでは、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、EBウイルスなどが知られています。
このほか、性行為で感染する病原体(梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIVウイルス)なども、原因となることがあります。
原因が細菌であってもウイルスであっても、微生物を含んだ唾のしぶきが飛ぶといったことによってほかの人にうつる可能性があります。
- 病態
- 口を大きくあけて口の中を見ると、垂れ下がっているのが口蓋垂(こうがいすい)で、その両脇の舌の付け根あたりに丸く腫れているような部分が扁桃腺です。
扁桃腺は専門的には口蓋扁桃(こうがいへんとう)といいます。
- 扁桃は常に病原体と戦っていますが、病原体の毒力が生体の免疫力よりも強ければ激しい炎症反応が起こり急性扁桃炎を引き起こします。
- 症状
- 嚥下時痛と微熱で始まり、やがて咽頭痛と悪寒を伴う高熱に発展します。
頭痛や倦怠感、頸部のリンパ節の腫脹を伴うこともあります。
- 検査・診断
- 症状と扁桃の様子を診察します。
食事がとれないほどの痛みの場合はファイバースコープでのどの奥を観察する場合もあります。
採血や細菌培養検査を行うことがあります。
- 治療
- 軽症はウイルス感染の可能性が高いので抗生剤の投与は不要です。
中等症や重症例に関しては抗生剤を投与します。
咽頭に浮腫みがあり、経口摂取が全くできない場合は入院加療をおすすめします。
また、ウイルスが原因の急性扁桃炎では肝臓の一時的な機能障害を起こすこともあります。
このようなケースでは連携医療機関にご紹介いたします。
- 注意点
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- 早く治すためには水分をたくさん取り身体をゆっくり休め安静を保ちましょう。
- 扁桃の周囲に炎症が及んで、膿がたまった状態が扁桃周囲膿瘍です。
入院が必要になる場合が多いので口が開けにくくなったり、呼吸が苦しい場合は早めに受診してください。
入院期間は4-7日程です。 - 『1年間に起こす扁桃炎の回数×繰り返してる年数』が8以上の習慣性扁桃炎の方や扁桃周囲膿瘍を繰り返す方は扁桃摘出術の適応があります。
手術は通常は全身麻酔で30分ほどです。
5-7日程の入院が多いです。
手術費用は7~10万円程です。 - 受診前に痛みや熱が辛い時
- 痛みや熱が辛らければ市販の解熱鎮痛剤(市販薬を参照してください)を内服しましょう。
風邪症状があれば市販の風邪薬(市販薬を参照してください)を内服するのもよいでしょう。
こちらには解熱鎮痛剤が入っていますので解熱鎮痛剤を重複して飲まないようにしましょう。
※その後痛みや発熱が改善しない場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 市販薬
- <解熱鎮痛剤>
15歳以上の場合ロキソニンsプレミアム、
イブA錠、
バファリンAなど<抗炎症薬>
ぺラックT錠(7歳以上)<漢方薬>
桔梗湯(ききょうとう)<うがい薬>
浅田飴AZうがい薬、
パープルショットうがい薬など - <鼻水・咳などの風邪症状がある場合>
注意:下記のお薬には解熱鎮痛剤も入っていますので、同時に上記の解熱鎮痛剤を飲まないようにしてください。
12~15歳以上
パブロンsゴールドW錠、
新ルルAゴールドDX、
ベンザブロックLプラス錠、
エスタックイブファインなど